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団地は波乱に満ちている! ちば地域再生リサーチをインタビュー

千葉県の海浜ニュータウンに数限りない団地が列挙しているのは、過去にこのブログでもお話しましたが、今回はその団地に潜む問題を直撃! 「ちば地域再生リサーチ」をインタビューしました。


「NPO法人 

数年前より、社会問題のひとつとして度々取り上げられている団地の老齢化問題。

住民の老齢化はもちろん、日本の経済および地域経済の衰退も重なって近年では
深刻な事態へと発展している。
一時期、こうした団地群を「限界集落」と呼んだ各種がメディア世間を賑わせた。

早急な対策が必要な地域も多数存在しているが、東日本大震災を契機に
大手メディアから注目されることは少なくなっている。

そこで本書編集部は限界集落のその後、つまり現在の団地事情を探るべく
・千葉市のNPO団体に接触を試みた。


【ちば地域再生リサーチの本部は高洲第一ショッピング内に存在する】

今回、お話を伺った団体は「特定非営利活動法人 ちば地域再生リサーチ」。
代表者は千葉大学工学部・デザイン工学科・地域多様性科学・教授
(現在は退官して名誉教授)を勤めていた服部岑生氏。

職員数は常勤3名。全体で6名と決して多くない人数ではあるが、
千葉市内の海浜ニュータウン(主に高洲・高浜地区)で、
住民のサポートをするべく各種サービスを提供している。

ここで設立当初からスタッフを務めるスエモリ氏にその実体を伺ったのだが、
団体の活動を紹介する前に、前置きとしてこのエリアの特徴を説明しよう。

千葉市の海浜エリアは、湾岸線に沿ってJR京葉線が走っており、
稲毛海岸駅、検見川浜駅、海浜幕張駅の3駅がここ海浜ニュータウン住民の
最寄駅となっている。


【こちらは最寄駅のひとつ「稲毛海岸駅」】

このJR京葉線だが、埋め立て以前は立派な海岸で、
戦後に本格化した埋立て事業により海岸線は消滅、現在のような団地群となった。

これら団地群は広大な範囲に数かぎりなく建てられているため、
場所によっては鉄道からのアクセスが極めて悪い。
鉄道敷設当時は6駅にする案もあったが現状の3駅となり、
その後も団地住民による駅の新設案はあったが、どれも頓挫し、
現状では団地内を循環するバスが住民唯一のインフラという状況である。

団地の多くは中層タイプ(4~5階)で、
建設当時はエレベーターがつけられていないものである。
現在では一部の練に【後付】という形で、対処しているが、
その数もまだまだ足りていない。

また、この地域の団地の特徴は外国人の住民が多いという点。
千葉県の団地は海浜ニュータウンのみならず、
他の地域でも外国人は増加傾向にある。
が、ここは千葉市に移民局があったせいか、
はたまた市営や県営住宅が多いせいか
(市営や県営の住宅は外国人の入居が他の住居に比べ安易)、
とにかく外国人が多く、商店街には中国人向けの雑貨屋も出店している。


【高洲第一ショッピングセンター内の様子、全国どこの商店街でも同じだが
ここも例にもれず、以前に比べるとかなり寂れたとのことである】


【団地の商店街内には中国人をメインターゲットにしたお店も進出している】

実はこの団体を取材する前、海浜ニュータウンの古参住民に話を伺うことができた。
この住民は個人の意見なので多少過激な発言もあったのだが、要約すると

・団地内では孤独死が日常化している

・買い物できる店がほとんどない(買い物難民化している)

・住宅は老齢化しているが、建て替えに対して否定的な人が多い。
ただし、URとの話し合いのすえ、複数の棟を建て替えることになった。

建て替え後、URは一般のデベロッパーへ売りたい。が
住民の意見では、その建物を既存の住民の為の施設にしてほしい。
との声が出ている。

・団地内はイタズラが横行している。

以上のような話を聞いていた。
今回はそのあたりの問題点についても客観的な話を伺いたい(以下・インタビュー)。

-団地内のサポートとは具体的のどのようなことをされているのですか?

「サービスは複数ありますが、ひとつに【買い物商品の配達】があります。
エレベーターのない5階建ての住宅に住む高齢者を対象に、
高洲第一ショッピングセンターでお買い物をされた品物をご自宅まで配送する、
というものです。

これは単純な買い物商品の配達にとどまらず、
地域内のコミュニケーションの育成や、住民の安否確認も兼ねています」

-安否確認というのは?

「俗にいわれる【】の防止です。
いつもお願いされているお客さんからしばらく連絡が来ない。
行ってみると、部屋で倒れていた。

なんてことが実際にあります。
以前ならそのまま亡くなる方もいたかもしれません。
それを事前に食い止める役目をしています」

-高洲・高浜に住んでいる方を対象にサービスを提供しているようですが。

「幸町団地(隣接する団地群)のほうも、
同じような悩みを抱えた住民は多いと思いますが、
現状では高洲第一ショッピングセンター内スーパーとの連携事業として
サービスを実施している状態です。
幸町からでも買いに来てもらえれば配達には応じています」

-なるほど、ほかには?

「【リフォーム】なども担っています。内容にもよりますが、
障子やふすまの張替えなどをしています。
いわゆる「業者」に比べれば格安で提供しているつもりです。
スタッフも一般の主婦であったり、リタイアされた方であったりと
極力、作業コストが安く済むような形を考えています。
こちらも高洲・高浜に限らず、幸町でも実績があります。

ここ周辺の団地は分譲・賃貸入り混じっている状態で、
住民の懐具合も一括でまとめられるものではありません。
ただし、リタイアされ年金頼りの生活をしている人が多いことも事実。
なるべく安い金額で対応できるように努力はしています」

-団地内では外国人の住民が増えており、トラブルも起きていると聞いていますが……。

「外国人のほとんどは中国人です。
中国人は日本人とは文化も考え方も大きく異なります。
既存の日本人コミュニティに溶け込むというよりは、
新たなコミュニティをつくっているように見えます。
彼らの多くは日本語がままなりません。
現在は中国人のための日本語教室を団地内の住民協力者が開き、
そこで、語学に加え、日本のマナーを教えています」

-それだけではトラブルというほどのものではないように聞こえますが

「例えばゴミの捨て方ひとつ見ても、文化の違いがあるようです。
一時期ゴミを団地の窓から捨てる人が多く発生しました。
これはハッキリと外国人の方が原因というわけではありませんが、
文化圏によっては窓からゴミを捨てる地域があると聞いています。
ゴミ袋やゴミ捨て場にゴミの投棄の禁止を複数の言語で記載したためか、
現在では改善されています」

-チャイナタウンのように、中国人と結託して商店街の活性化なんかはどうですか?

「URの職員さんなんかも『異国情緒あふれていいですね』なんて言ってましたが、
ここは人が寝起きする住宅地で、繁華街ではありませんから難しいと思います。
日本語が達者な中国人が、後から入ってきた日本語があまり達者ではない中国人の
入国を手伝っているようで、人数も多くなり、今では商店街に中国人専用の店もできています。
すべての中国人がそうだ、ということではないことをあらかじめ断っておきますが、
異なる風土で育った人間が同じエリアに住むということは、
それなりに衝突が発生するんです」

-中国人の問題は、文化的な相違もあって簡単にはいかなようですね。
ほかに問題というのはありますか?

「中層の団地にエレベーターを【後付】しているエリアがあるのですが、
1階の方からすると不必要な設備です。
また、老朽化が進んだ建物のなかには、
建て替えを検討されているものも多数ありますが、これは難しい問題です。
建て替えとなると住民は引越しを余儀なくされますが、
高齢者の一人暮らしでは多分な苦労を伴います。
また分譲となると、現在の入居者の負担をできる限り少なくするため、
高層の集合住宅が建設されることになりますが、事業収支の合う計画ができなければ、
実施も難しくなりまので、特に駅から遠いエリアでは、課題が多いでしょう」


【団地にエレベーターを後付した様子。ここの場合は1、3、5が停車階】

-海浜ニュータウンは団地の棟数がかなり多いので、
自治会の数も多いようですが、それぞれの自治会の活動はいかがですか?

「エリアによっては自治会自体が消滅している所もあります。
存在していても、若い人の参加率が低く、活動の担い手がご高齢であることも多く、
そうなると活動も”活発”というわけにはいかない…という印象です」

-なるほど、諸問題や対策するスタッフが、場所によって異なるというのも
海浜ニュータウンの特徴のようですね。
最後に伺いたいのですが、このNPO団体の活動費はどのようにして
捻出されているのですか?

「かなりギリギリというのが本当のところです。
団地の住民の方に提供しているサービスは、ほとんど利益が無い状態ですし。
一応企業を対象に、住民への意識調査や研究レポート、
海外視察ツアーの受け入れなどを有償で提供し、活動資金にしていますが、
それほど大きな利益になるわけではありません。」

これは取材のウラ話ではあるが、
当初、編集部が取材を申し入れた際、取材協力費を求められた経緯がある。
一般的に我々マスコミは取材対象者に対して、金銭のやりとりは意図としない。

これが悪いとかそういうことを言っているのではなく、
いかに活動資金に頭を悩ませているのかが、のっけから伝わってくる
エピソードのため、あえて書かせていただいた。

NPO団体というと、非営利団体という印象が強く
「売上は必要ない」、と勘違いしている方がいるようだが実際に
行政が負担する補助金はなく、
それなりの組織を運営するには最低限の資金は必要である。

とくにこのような住民の生活に密着している団体であればあるほど、
存在意義は高く、その団体の有無が地域の荒廃へ直結する。

今回は、千葉市の海浜ニュータウンの問題をピックアップし取り上げたが、
全国的に荒廃が進んでいる”旧公団”の経過は非常に気になるところである。
今後も、進んで各地の取材へ出向きたい。

 

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